2025年12月6日号
詐欺の手口、実演で体感
いきいきカレッジ

photo  大綱交流館主催「にしせんぼく『いきいきカレッジ』」が11月28日、同館で開かれた。地域住民など約15人が参加。大仙警察署生活安全課の署員2人を講師に招き、巧妙化する詐欺の手口と対策を学んだ。
 同カレッジは、世代を超えた市民交流の場として定期的に開催。各分野の専門家を招いて講話やものづくり、史跡探訪など多彩なプログラムを実施している。
 県庁出前講座として開かれたこの日のテーマは「特殊詐欺等の被害防止について」。署員によると、昨年まで主流だった架空料金請求詐欺に代わり、今年は手口の進化したオレオレ詐欺が急増している。
 昨年、県内で発生した特殊詐欺の被害額は約3億7643万円、件数は135件(暫定値)にのぼる。今年は10月末時点ですでに被害額が5億円を超え、昨年の年間総額を上回った。
 SNS型投資・ロマンス詐欺については、昨年の被害額が約5億3350万円、件数は65件。特殊詐欺の半分ほどの発生件数だが、被害額では上回る。  「県内の特殊詐欺等の推移をみると、7年連続で被害は増加傾向にあり、届出のないケースを含めれば実際の被害はさらに多い」と署員。表に出ている数字は「氷山の一角に過ぎない」と警鐘を鳴らした。
 かつては高齢者が特殊詐欺の主な標的とされたが、SNSの普及により今や年齢を問わず狙われる時代。講座では副業名目の詐欺やSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺の手口を詳しく解説し、日々更新される情報を住民自身がアップデートしていく重要性を訴えた。
 「報道される被害額に目が行きがちだが、知ってほしいのは『なぜ騙されたか』」と話し、「被害者の大半は『まさか自分が騙されるわけがない』と思っていた人たち。どんな経緯で騙されたのかにも着目し、同じ被害に遭わないようにしてほしい」と呼びかけた。
 被害を防ぐには▽儲け話に安易にのらない▽見知らぬ相手と接触しない▽新聞やニュースから情報を得て自分事として捉える―という心構えも大切。参加者は署員の話に熱心に耳を傾けた。
 講座の終盤では、「警察官」を装った不審電話の実演にも挑戦。犯人役を署員が、被害者役を参加者が演じた。
 警視庁捜査二課の鈴木を名乗る人物から「あなたの電話が犯罪に利用されている」という電話を受けた参加者。「心当たりがない」と答えるもののLINEに誘導され、挙句「あなたに逮捕状が出ている」「逮捕されてもいいんですか?」などと畳みかけられて逮捕状の画像が送られてくると、会場には緊張感が漂った。
 刈和野地区から参加した70代女性は「新聞で詐欺被害の記事を見かけるたびに、よく騙されるものだと思っていたが、実際に不審電話のやり取りを目の当たりにすると、警察官と名乗られるだけでドキッとするし、言葉巧みに誘導されかねないと感じた」と語った。
 署員は「今日学んだことを、ぜひ家族や知り合いに伝えてほしい。一人ひとりが持っている知識を周囲に広めることで、より多くの人が被害を防げる。皆さんの行動一つひとつが、県内から詐欺被害を減らす力になる」と力を込めた。

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※写真は
特殊詐欺について解説
被害者役で電話を受ける参加者
偽の警察官が送ってきたLINE画面
詐欺の手口を学ぶ


詳しくは2025年12月6日(土)号をご覧下さい。
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