2025年12月9日号
若年女性が握る未来
県経営者協会がセミナー

photo  秋田県の人口減少に歯止めをかけるカギは、若年女性の流出防止にある―。秋田県経営者協会(新谷明弘会長)と東北活性化研究センター(増子次郎会長、仙台市)は11月27日、横手市のJA秋田ふるさと「よこてシャイニーパレス」でセミナー「若者の働きたい魅力ある企業・地域づくりに向けて」を開催した。県南地域を中心に約50人が参加。データに基づく分析と解決策に耳を傾けた。
 日本の働き手不足が大きな問題となる中、地方では若者の都市部への流出により労働人口の減少が顕著となっている。全国一の少子高齢化県である秋田県では、この問題が他地域以上に深刻かつ加速化。若者にいかに県内企業に目を向けてもらい、県内で働いてもらうかが課題となっている。
 セミナーは第一部の講演と第二部のパネルディスカッションの二部構成。第一部では、東北活性化研究センター 地域・産業振興部の橋本有子課長代理が「地方の若年層はなぜ東京圏を目指すのか」と題して講演した。
 橋本氏は昨年の秋田県の転入・転出状況を示しながら、1年間で3千人を超える転出者があり、中でも多いのは20代前半の若者と説明。男女別では、男性よりも女性の流出が多く、女性はどの年代においても転出が多い傾向にある。
 一方、40代から70代の男性は少し戻ってきている。橋本氏は「ある程度の年齢になった息子さんたちは戻ってきているように見受けられるが、女性である娘さんたちにとっては戻りたくない、あるいは戻りたくても戻れない地域となっている」と分析した。
 さらに80代以降の男性、女性は60代後半以降で転出者が多くなっており、県外に住む子どもの元へ移り住むケースが増えていると推測。「高齢者の流出により、介護ビジネスも成り立たなくなりつつある」と警鐘を鳴らした。  橋本氏は「出産適齢期である若年女性がいないと地域に赤ちゃんは生まれない。男性がいくら戻ってきても、それから結婚や出産を経て子どもを持つ確率は限りなく低くなる」と指摘した。
 では、なぜ若年女性は東京圏を選ぶのか。同センターが東北圏出身の若年女性を対象に実施した調査によると、自分のやりたい仕事や夢を実現できる機会が東京圏では多いと感じていることが分かった。橋本氏は、地方からの流出を防ぐには、若年女性が正社員として長く働き続けられる企業を増やすことや、多様な雇用先・職場を創出することが重要、と力を込めた。
 「若年女性の流出を防ぐには、単なる女性向けの求人雇用を増やすのではなく、キャリア形成機会が得られ、かつ柔軟な働き方ができる環境を整備することが必要。若年女性が暮らしやすく、魅力ある地域づくりを行うことが不可欠」と述べた。
 具体的な解決策として、女性の新卒者が働ける職種を増やすこと、TT化やリモートワークの推進、産休・育休後のキャリア支援、そして事務職以外の職種でも女性を積極的に採用することなどを提言。
 橋本氏は「地域社会全体の理解と意識改革が必要。企業はもちろん、自治体と地域が連携して若年女性の視点を取り入れた政策を立案し、実行していくことが必要不可欠」と訴えた。
 参加した横手市の40代女性は「10年ほど前に東京圏から秋田に引っ越してきたが、当時ネックになったのが年収の差。今日お話を聞いて、あの頃と変わっていないと感じた。若者や女性に対して、もう少し開かれた環境になればいい」と話した。
 同じく県外から移住してきた別の40代女性は「給与の低さに加え、威圧的な男性が多いと感じる。こんなにも(仕事を)教えてくれない環境も珍しいと感じた。若い世代は戸惑うのでは。若者の教育環境をしっかり整えてあげてほしい」と語った。
 第二部のパネルディスカッションでは、橋本氏に加え、青山精工の青山亜起菜代表取締役、むつみ造園土木の佐々木創太代表取締役、斉藤光学製作所の齊藤大樹代表取締役社長執行役員がパネリストとして登壇。秋田経済研究所の佐藤雅彦専務理事所長をコーディネーターに、各社の取り組みを紹介しながら活発な意見を交わした。

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※写真は
各社の取り組みを紹介
講演する橋本氏
約50人が参加


詳しくは2025年12月9日(火)号をご覧下さい。
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